産後ピラティスはいつから始められる?安全なタイミングと注意点

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出産を終えてから、胸のあたりや腰がまだ痛むこと、体のラインが戻らないこと、おなかの力が入らないこと、そういったことを感じている方は多いのではないでしょうか。

そんなとき、体に過度な負担をかけない”ピラティス”は産後の運動として気になる選択肢の一つかもしれません。

けれど、いつから始めて良いのか、安全に続けられるのか、わからないことも多いはずです。

ここでは「産後ピラティス」を始めるタイミングと、安全に実践するためのポイントをお伝えします。

産後ピラティスはいつからが安心?

産後すぐ?それとも数ヶ月後?

赤ちゃんを産んだ後、からだには「出産ホルモン」であるリラキシンが残っていて骨盤や靭帯が柔らかくなっています。この時期に無理な運動をすると関節を傷めるおそれがあります。

そのため、まず大切なのは「母体の回復」。

帝王切開の方は医師の許可が出るまで運動は慎重になります。医師や助産師監修のサイトでも一般的には「産後6週間」「赤ちゃんの検診でお医者さんに”運動を始めてもよい”と言われてから」がひとつの目安、と言っています。

帝王切開だったあなたへ

帝王切開の場合は、腹部の傷が落ち着いてから動くことが重要です。

傷口が目立たないようになるには約6~8週間とされ、腹部を無理に使うような運動は避け、まずは軽めの呼吸エクササイズなどから始めます。

産婦人科の指導を受けながら、腹筋を使わない呼吸だけのピラティスから少しずつステップアップしましょう。

安全に始めるためのチェックポイント

医師や助産師に確認

産後に体調を崩すこともあります。赤ちゃんを産んでからの血圧や出血、痛み、気分の落ち込みなど気になる症状がある場合は、自己判断せずに医師や助産師に相談しましょう。特に産後うつのような症状の有無も確認しておくと安心です。

骨盤底筋や腰の痛みがある場合

産後は骨盤底筋がゆるみがちで、尿モレや腰の痛みを感じる方もいます。ピラティスを安全に行うためには、どうしても骨盤底筋を少しずつ鍛えていく必要があります。

まずは「横になっておしりを少し起こしたまま、お腹やおしり周りの力を軽く入れたまま呼吸をする」ような、筋肉に無理のない動かし方から始めるのがおすすめです。

日本産科婦人科学会の産科診療ガイドラインでも、腹圧性尿失禁に対しては骨盤底筋訓練による行動療法が有効とされています(第2回産科診療ガイドライン、2010年4月)

産後ピラティスを始めるときの基本ルール

🚩ゆっくり呼吸する

ピラティスの基本は呼吸です。息を吸ったときに胸が開き、吐くときにおなかが背骨に引き寄せられるように意識します。それだけで背中がまっすぐになり、骨盤が安定する感覚をつかめます。

🚩姿勢を整える

骨盤を立てて座る、背中を丸めず頭を骨の上にすっと乗せる意識から始めます。椅子やベッドでも大丈夫。すわるだけでも姿勢が整う経験ができます。

🚩数分から始めて少しずつ

最初は5分や10分の短い時間で十分です。それを毎日続けるか、2日に一回でも継続することで、筋肉や呼吸がリズムを取り戻していきます。

痛みや違和感があったらすぐ止める

筋肉が疲れる感じはよいサインですが、鋭い痛みや出血、めまいが出た場合は中止して医師に相談してください。

母体に優しいおすすめエクササイズ

1. 呼吸でおなかを感じる

椅子に座って足を腰幅にし、背筋を整えて軽く骨盤を立てます。片手を胸に、もう片手をおなかに置きます。鼻で少しゆっくり吸い、胸がふくらみ、おなかが横に広がるのを感じます。次にふーっとやさしく吐いて、おなかが背骨に寄っていくのを感じましょう。これを5回ほど繰り返すだけで、体幹の意識が始まります。

2. 骨盤のスイング

仰向けで膝を立て、お尻の下に手を入れて骨盤の角度をやさしく感じます。息を吐きながら骨盤を自分の方へ転がし、吸いながら元の位置へ戻します。腰の動きがわかる範囲でゆっくり動かすことが大切です。

3. 背中伸ばしのキャット

四つ這いになって腰と背中を丸め、次に背中を下へ下げながら胸を開く動きをゆっくり行います。息に合わせて背骨を一つひとつ丁寧に動かしましょう。背中のこわばりが少しずつほぐれていきます。

4. 橋のポーズ(軽め)

仰向けで膝を立て、尾骨の近くから背骨を少しずつ持ち上げます。胸は開き、腰が痛くない高さで止めましょう。息を吐きながら尾骨から背骨をゆっくり戻す動きを3回だけ行います。腰に負担がないように調整してください。

続けるためのヒント

続けやすさの鍵は「自分のペース」です。曜日を決めるより、「ごはんの前後の少しの時間」など習慣化しやすいタイミングを見つけると続けられます。カレンダーに丸をつけて記録するのも効果的です。小さな達成を積み重ねることで、自信がついてきます。

よくある質問Q&A

Q1 産後いつからピラティスを始めてもいいの

出血が落ち着き、産後検診で医師から運動再開の許可が出てからが安心。一般的には六週間前後が目安だが個人差が大きい。ACOGは産後の回復状況に応じた段階的再開を推奨し、日常の歩行など軽い活動から入る方針。アメリカ産婦人科学会+1

Q2 帝王切開後はどう進めるの

創部と周囲の回復が優先。許可が出るまでは呼吸と姿勢のリセット、痛みのない歩行のみ。許可後は椅子上の胸郭呼吸、骨盤底筋の短いホールドから。腹圧が上がる運動や反復でお腹が前方に盛り上がる動きは避け、段階的に。CDCも「少量から始めて徐々に増やす」ことを推奨。CDC+1

Q3 授乳と運動は両立できるの

 できます。
多くの研究で、運動が母乳の量や質に悪影響を及ぼさないことが確認されています。実際に、産後6〜8週間からの軽い運動でも母乳への影響はなく、赤ちゃんが母乳を問題なく飲めると報告されています。また、運動は気分や睡眠の改善、うつ予防にも役立つことがわかっています(世界各国のガイドラインより)fit4mom.com+2PMC+2
ただし運動中はしっかり水分補給を行いましょう。赤ちゃんがすぐに授乳したい場合に備えて、授乳の前後の時間帯に運動するか、母乳をあらかじめ少し搾っておくと安心ですmdpi.com

Q4 体型戻しのために有酸素運動は必要

筋コンディショニング中心のピラティスに、散歩など中等度の有酸素活動を組み合わせると効果が高い。CDCは妊娠・産後女性に週合計150分の中等度有酸素活動を示している。短時間を積み重ねてもよい。CDC

Q5 腹直筋離開があるかもしれない

自己チェックで不安があるなら、離開向けの初期運動に限定し、腹圧が急に高まる動きを避ける。NHSの資料は、横向きから起き上がるなど日常動作の工夫や段階的な腹横筋の活性化を解説している。独断で負荷を上げないこと。MkuhTims

Q6 骨盤底筋はどう鍛えるの

椅子や横向きでの軽いホールドから。尿意を我慢するようにやさしく引き上げ、呼吸は止めない。RCOGはゆっくりの収縮と速い短縮収縮の両方を推奨し、毎日少しずつ続けることを勧めている。ロイヤル産科・婦人科大学

Q7 やってはいけないサインは

鋭い痛み、悪露の増加や再出血、めまい、息切れ、胸痛、強い骨盤痛、会陰や創部の疼痛増悪など。これらがあれば即中止し医療機関へ。ACOGの委員会見解も、危険サインに注意して運動を調整するよう求めている。アメリカ産婦人科学会

Q8 体重はいつ戻るの

個人差が大きい。体重だけでなくウエスト周囲や姿勢、持久力の変化も指標に。CDCは産後もうつ予防や体重管理の観点で活動を推奨し、少量でも始める価値があるとしている。CDC

Q9 ピラティスは毎日やっていいの

呼吸や骨盤底筋の軽い練習は毎日でも可。筋肉に負荷をかける種目は疲れが残るなら一日おき。WHOとCDCは頻度よりも総量と継続を重視する立場で、短時間の積み上げを支持。世界保健機関CDC

Q10 ベルトやコルセットは必要

装着で体感が楽になる人もいるが、長時間の常用は筋力の発揮を妨げることがある。装着するなら短時間、運動時は外して自力で支える練習を。医学的に必要な場合は医師や理学療法士に相談。

Q11 ランニング再開の目安

骨盤底の違和感や尿もれがなく、歩行や階段で支障がないこと、体幹の安定が確保できてから。まずは速歩から。違和感が出るなら時期尚早。骨盤底筋の回復が先。ロイヤル産科・婦人科大学

Q12 スタジオに通うか自宅でやるか

どちらでもよい。安全面に不安があれば指導者のもとで。通えない日は自宅で呼吸と基本の三種目だけでも十分。ACOGは自重運動やピラティスなど身近な選択肢を例示している。アメリカ産婦人科学会

最後に

産後は体も心も変化が多い時期ですが、その変化に合わせながらゆっくり動くことは、赤ちゃんとの生活の中であなたを支えてくれます。始めるタイミングは、体の声と医師の許可を尊重しつつ、安全優先が第一です。呼吸と姿勢を整えながら、ほんの少しの時間でも自分と向き合う瞬間を持てば、からだも心もじわりと整っていきます。どうか、あなた自身に優しい時間を重ねてください。

参考したサイト

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