妊娠中、「体の不調を整えたい」と運動のことが気になる一方で「じっとしていないと赤ちゃんに悪影響があるのでは?」と不安になる方も多いと思います。そうした中で、近年注目されているのが マタニティピラティス。でも「産婦人科医はどう思っているの?」「科学的には信頼できるの?」という疑問も当然です。
そこでこの記事では、医師や公的機関がどのように評価しているのか、そして最新の学術研究はどう示唆しているのかをご説明します!
医師や公的機関のスタンス
米国産婦人科学会(ACOG)の見解
ACOG(American College of Obstetricians and Gynecologists米国産婦人科学会。米国の産科・婦人科医を中心とした専門団体で、妊娠・出産・女性の健康に関する診療ガイドラインや勧告を策定し、国際的にも広く参照されている権威ある組織です。)は、妊娠中の身体活動について次のように述べています:
“Physical activity and exercise in pregnancy … are associated with minimal risks and have been shown to benefit most women … women with uncomplicated pregnancies should be encouraged to engage in aerobic and strength-conditioning exercises…”(ACOG)
「妊娠中の身体活動と運動は…リスクは最小限で、ほとんどの女性に有益であることが示されています…合併症のない妊娠の女性は、有酸素運動と筋力トレーニングを行うことを奨励されるべきです…
つまり、合併症がない妊婦さんには、運動を取り入れること自体が推奨されているということです。
日本の産科診療ガイドライン
また日本の産科診療指針でも、「一般的に経過が良好な妊婦に対しては運動を推奨してよい」とされています。これは産婦人科医の間でも広く共有されている考え方ですLadies Clinic TOIRO。
実際にマタニティピラティスは安全?産婦人科医の見解まとめ
妊娠中の運動は、体重管理や合併症の面でも大切です。
例えば、アメリカでは健康な妊婦は、週に少なくとも150分の中強度の有酸素運動を行うべきとされています。日本も同じ感じです。中強度とは、会話はできるが歌は歌えない程度の運動です。自分のためも赤ちゃんのためにも適度な運動をしましょう。 pic.twitter.com/RutZpf07em— よもぎ☘️産婦人科医 つわり研究中 (@Yomogi_OBGY) July 12, 2025
多くの産婦人科医や助産師も、「医師から問題なければ、妊娠16週以降はマタニティピラティスを始めてよい」と言われることが一般的です。特に以下の点に留意されています:
妊娠16週以降であること
医師に運動の許可が出ていること
合併症や妊娠高血圧症候群などがないこと
安定期以降の安全な種目であること
つまり、「医師の判断のもと、安全に行えばOK」という理解が多いようです。
最新研究が示す、マタニティピラティスの効果
1 疼痛・睡眠・メンタル改善のレビュー研究
これまでの研究を整理すると、妊婦に対してピラティスを行うことで 睡眠の質・痛みの軽減・産後の尿もれ・QOLの向上など多方面に効果が報告されていますPMC。
2 分娩苦痛の軽減・満足度向上など
臨床研究では、ピラティスの8週間プログラムが 分娩時の痛み強度の低下、出産時間の短縮、満足度の向上に有効であったと報告されていますPMC。
3 分娩結果の改善
妊娠期にピラティスを行ったグループでは、帝王切開や会陰切開、吸引分娩の頻度が有意に低く、出生直後のアプガースコア(1分・5分)が高かったとする症例対照研究があります(Journal of Surgery and Medicine, 2021)。ただし観察研究であり、因果関係の断定には注意が必要です。」 jsurgmed.com
3.4 メンタル面への効果(オンラインピラティス含む)
オンラインでのピラティス8週間プログラムでは、うつ・不安・出産への恐怖が有意に軽減されたという結果が2024年に報告されましたNature。
3.5 他の研究でも安全・有益と確認
ナラティブレビューでは、妊娠中でもピラティスは安全で多くの健康効果が期待できる運動と評価されました。また2025年の研究では、ピラティスが体重管理、メンタルケア、尿もれ予防、出産準備にもつながるとされています。
産婦人科医が実際に推奨する理由とは?
安全性が確立されている運動法であること
複数の臨床研究で腰痛・出産・メンタルなどに効果が示されていること
ACOGなど公的機関が妊娠中の運動を推奨していること
これらの点から、医師の指導下であれば、マタニティピラティスは「理にかなった選択肢」として判断されることが多いです。
具体的な最新研究まとめ(2024〜2025年)
2024年 Scoping Review:痛み・QOL改善など幅広い効果(PMC)
2024年 Randomized Controlled Trial:オンラインでの不安・恐怖軽減(Nature)
2025年研究:自然分娩率向上・アプガースコア改善(Journals of Surgery and Medicine)
2024〜2025年レビュー:安全性と多様なメリット(サイエンスディレクト)
医師から見推奨ポイントまとめ
項目 | 内容 |
---|---|
安全性 | 母体・胎児共に合併症がなければ許可のもと安心して実施可 |
効果 | 分娩サポート、腰痛緩和、メンタル安定など多方面に期待 |
実施条件 | 医師の許可が必要、専門指導者によるサポート推奨 |
推奨時期 | 安定期以降(16週以降)から開始が一般的 |
よくある質問(Q&A)
Q1. 医師に言われたら誰でもやっていいの?
A. 基本的には「合併症なし+医師が問題ないと判断」された妊婦さんに限られます。
Q2. オンラインでも効果がある?
A. はい、オンラインでもメンタル面での改善効果が認められています(2024年のRCT)
Q3. 出産結果に影響がある?
A. 自然分娩率の向上、痛みの軽減、満足度の向上といったポジティブなデータがありますPMC。
Q4. いつまで続けられる?
A. 妊娠後期まで継続可能ですが、後期は負荷を調整し「呼吸と緩やかな動き中心」に切り替えるのが一般的です。
まとめ
マタニティピラティスには、産婦人科医の視点からも次のような魅力があります:
安全であること(合併症がなければ)
科学的な研究結果が豊富にあること
心身のケアに役立ち、出産準備にもなること
妊娠中は無理せず、医師と相談したうえで自分の体や気持ちに合ったやり方を選ぶことが大切です。マタニティピラティスは、あなたの妊娠生活に新しい安心と前向きさをもたらしてくれる力になるかもしれません。
参考リンク一覧
国立成育医療研究センター:妊娠中の運動の効果まとめ
NピラティスACOG公式ガイドライン
アメリカ産婦人科医会論文:分娩時の痛み・時間・満足度改善
PMC論文:自然分娩率・アプガースコアの改善
スプリンガーリンク論文:オンラインピラティスでメンタル改善(2024)
heso.cc+5mana pilates studio+5女性専用のマシンピラティス | スターピラティス+5総合レビュー(安全性・有益性)
Marie Claire UK日本の運動ガイドラインにも運動推奨が含まれる点
Ladies Clinic TOIRO
なお、このように医学界でピラティスが妊産婦に優位な面があることの発表があったとしても、すべての妊婦に共通するわけではありませんので、マタニティの運動を始めるにあたっては、医師と相談してください。